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よろずなことを呟いたり書いてみたり
2025/08/29  [PR]
 

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多分続けて書いていきたいだろう思われる、創作の話。







水田蜜緒は第一印象からして変な女であった。
まず美人だ。万人が認めるしか出来ない完璧な美貌を、彼女は齢16にして持っていた。肩口で切り揃えられた黒髪の美しさ、同色の長い睫毛に縁取られた大きな瞳、桜色を呈したアーモンドのような小振りの唇。水田蜜緒は彼女の意思に関わらず、校内に於いて絶対の注目を惜しみなく浴びせられていた。大抵の人は彼女の第一印象を当たり前に「なんて綺麗だ」と呟くらしい。まあ当然ではあるが、私は違った。初対面、水田蜜緒はこちらを真っ直ぐ見据えてこう言ったのである。
「私はあなたと仲良くなんて出来ない」
花も恥らってしまうほどの笑顔で、宣言されてしまった。
水田蜜緒は第一印象からして変な女であった。
だけど彼女は私が側にいることを許してしまっている。今も、きっと、これからも。


私がこの高校への進学を決めたのは、教室の窓から海が一望できると言う点がまずあった。晴れた日の放課後には沈む落日に照らされた地平線を見ることができた。そして二つ目は制服が可愛らしいところだ。都市化に伴い共学化が進み制服が変わる中、ここは創立以来変わらぬセーラー服だ。薄い水色の膝より少し長いセーラーワンピース、腰裾の部分だけが細かなプリーツになっていて、紺のリボンタイがラインを引き締めている。おしゃれもそれなりの夢も見てしまう女の子であった私は、その制服に一目惚れして猛勉強をする羽目になったのだ。県内御三家と呼ばれる進学校に合格できたのは、まさに乙女の執念とでも言うもので。斯くて毎回テストの度に大変な目に遭いながらも、私はそれなりにスクールライフを楽しんでいる。水田蜜緒にあったのは、その中での僥倖であった。
「花島八映子」
水田蜜緒は、私のことをいつでもフルネームで呼んだ。呼び捨てでいいのに(現に私は水田蜜緒をそう呼んでいるのに)と何度も言ったが、頑なに変えようとはしなかった。まるでそれが決まりであるように、私をフルネーム以外の認識をしてないんじゃないかと思うほどに。
「やっと終わった。…遅かった?」
「ううん、むしろ早かったよ。進路指導ってそんなものなの?」
「決まっていることを確認するだけだから、」
「そっか。とにかく、帰ろっか」
注目されるのはその容姿だけで十分だと思うのに、水田蜜緒は成績まで優秀な生徒であった。教師が期待を背負わせてしまう気持ちは理解できるけれど、彼女の好きなようにさせればいいのに。それ以外にも悩み事があるそうなのだから。
絶対的な美しさを無意識にでも振りまいている彼女に、近付きたいと思っている人たちは沢山いるだろう。歩く目の保養、生きる芸術品、どんな形容だって水田蜜緒には足りないと感じてしまう。だけど彼女は、私が抱いた第一印象を自ら矛盾させて、隣にいるのだ。私以外の人と親しそうに話した姿を見たことが無かった。そう、あくまで過去形の話。ここ数週間悩み事があるそうだった。水田蜜緒は、どうやら恋をしているらしい。


夏至を目前に控えた午後4時半の空は、私たちの制服のような淡いスカイブルーを広げていた。松の並木に沿ったアスファルトをただ歩く。並木の向こうはすぐ海だ。陸上部の生徒等が砂浜でランニングをしているのが伺える。それらに目をやった私と水田蜜緒の視線はかち合い、同時に笑ってしまった。
「海、行ってみる?」
「いいよ」
「決まりね。行こっ、蜜緒」
彼女の華奢な手首を取り、海へと駆ける。くすんできた太陽が私たちの足元を柔く照らす。夕方だというのに蒸し暑く、そのためか私の掌は汗ばんでいて、水田蜜緒の硝子細工のように繊細で華奢な腕を汚してしまうんじゃないかと、そんなことを考えた。どうも私は彼女の前だと余計な卑下をしてしまうようだ。それほどに、水田蜜緒は美しいのだ。万物をひれ伏すんじゃないのかって、冗談でも思うほど、一概にも悪ふざけでそれが言えないほどの説得力を十分すぎるほど手にしている。
「花島八映子?」
水田蜜緒は不審げな声を出した。気がつくと私は手首を離して一人で疾走してしまっていた。不審に感じても仕様がない。私は慌ててもう一度彼女へ近づいた。
「ごめんね、ボーっとしてたみたい」
「…もしかして、体調悪い?」
「まさか、そんなんじゃないよ。大丈夫、もうしない」





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百合未満なおなごはかわいいと思うのですよ。


ところでこのブログは自分の欲望的なものが出すぎている、といわれました。
いいじゃない!それで!ぶっこみ部屋だもの!

ここ最近の神のみ、新キャラ男が桂馬たんを陵辱する展開マダー?(・∀・)っ/凵⌒☆

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