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よろずなことを呟いたり書いてみたり
2025/08/07  [PR]
 

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国擬人化サイトをやってた時の小説が発掘されました。
多分3,4年前…?アニメ化どころか書籍化も話題にも出ておらず、イベントで3つくらいサークルがあって喜んでいた時代…それが今ではあんなに…と思うと感慨深いです。
そしてほとんど初めてまともに書いた(人に見せる、という点で)801小説です。今よりもひどくでわらえてきたので、戒めとして貼っときます。
ちなみにカップリングは親分子分でした…。







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おまえの、そういう加減がわからない。

ここに来てから随分日焼けた頬は、言いようのない感触に覆われているようで、それが目前のやつから与えられたものだとすると、今更ながら俺はこの男の影響力とか色んなことを考えはじめた。
夏で、夜だった。それなのに妙な寒気を感じて、ベッド横の窓が大きく開きっぱなしだと言うのに気づいたのは、アッと短い悲鳴のようなため息を噛み殺し、うすく意識を覚醒したころだった。裸で寝る、ってのもあると思うけど。寝ぼけながらも、窓をきちんと閉めシーツを手繰り寄せて丸まり、目をつむる。いちにいさん、ひとつふたつみっつ、羊の柵越え。子どものおまじないでしかないけれど、頭に数字の形を描くようにし口に呟けば眠られるはずで、事実俺はこの方法で寝たことがあるのだ、そのはずなのに。
何度か寝返りをくり返しても無駄に終わった。結局手持ち無沙汰状態、どうしてくれるんだちくしょうめ、と訳もないまま悪態づき、すべてはこの寒気のせいだ。そうに違いない、と身勝手に決め付けた。
昼間は燦燦と鋭く暑さをもたらすくせに、夜になれば違う面がある。ひやりと拒む寒さがある。
「あいつのこと?」考えた矢先には、シャツだけ羽織って、暗い廊下に飛び出していた。

「……せやから、なんで?」
「だから、お前のせいだちくしょう、」
 
自分でも理不尽なセリフだと思うけど。
部屋に押しかけたら案の定スペインは起きていて、テーブルランプだけが灯っている部屋が妙に視界にチラついた。俺が夜中に訪ねてきたことよりも先に、「なんでそんな格好なん」だけ言って、その声がいつもどおりの(誠実さ、と周りが言うような)ニュアンスを含んでいたから、俺が今ここにいる理由は何だ、と改めて思い、自分の突発的行動を、わずかに恥じた。
「中、入るよな?」と聞かれ、無意識に敷居を跨いでいた。今は薄暗い部屋に入るのは数え切れないほどあるけど、夜、こうも自分勝手に訪れたのは数えるくらいしかなかった。
豪奢な部屋、質のいい調度品、かすかに混じる煙草と言う舶来品の匂い。それが何によって獲得し、何の手によって在るものなのかは、考えとことはあるけど今はいい話だ。
「お前がいけないんだ」と、独白するように、一語一語かみ締めるように呟いたのは、スペインが俺の横のソファに陣取ったあたりだったと思う。
 
 
「俺が、ロマーノになんか悪いことしたんなら謝るけど、理由とかさっきから言わへんやん」
「……お前が、」
「の、次」
「…だから、お前のせいだちくしょう」
 
このやり取りが完全な堂々巡りのループになっているのは、お互い気づいているけど。
スペイン、俺が、わからないんだよ。お前に対してこの不明瞭な感じとかを、一から十まで全部、お前が教えてくれればいいのに。口にはぜったい出したくないけど、俺はスペインと一緒にいるのは楽しいし、こんな弱国を護り続けてくれるのは感謝してる。
「親分と子分、よりも父親と子どもみたい」なんて形容されることがある。けれど俺がスペインについて知り尽くしている、と言うことになると、それは違った。
あの夜風に感じたのはなんだったのか、直感だったのか、それともそれがスペインの本質なのかを、肯定する術は何もない。
 
 
知らず知らずのうちに俯いてしまって、右隣からフッと、笑い声が漏れた。なんで笑うんだ、と顔を上げたら、目を細めて俺を見つめるスペインと視線がかち合い、微妙に気まずい。反射的に目を逸らしたら、スペインの手のひらが段々近づいて、俺の頭を撫でた。皮膚越しに、温かい感触が降ってくる。

「まあええわ、言いたくないこともあるんやろ。とりあえず今日は遅いし、休み?」
「……」
「ほんっと、ロマーノはかわええなあ」
 
 
だから、そういうのやめてほしいんだ。何が“だから”なのかがついたかは知らないけど、それこそ反射的にそう思った。お前はずるい。
お前は簡単に、いろいろ俺に与えてきたけど、俺は何一つ与えてないし、ただあるがままを享受していただけなのに。
知らないことばっかで、与えられてばっかで、だけどお前は俺を心得ていて、手にするものと手放すものの力量には愕然とした差がある。
 
俺のこと知っているなら、教えてほしいんだよ。俺はお前に対してどう思えばいいとか、俺が知らないお前とか、全部吐き出して、楽にさせてほしい。
言ったらきっと、任せきりやなあ。なんて笑うんだろうけど、お前が線引きでもしないと、俺は、お前を、スペインを、どこまでも欲しがってしまうような気がするから。
 
 
頭を撫でる手のひらは徐々に乱暴になり、最後はぐしゃぐしゃと掻き回された。「もっとかわええ頭になったで!」と嬉々としたスペインの声に応えるべく、今度は、目を逸らさないでやった。






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関西弁のアレっぷりには目を瞑ってください。
関東生まれ関東育ちが書けるわけないだろうよばかっ!(逆ギレ)
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